デビュー30周年記念として企画した「トークセッション」が、10年の時を経て復活!来生たかおが、自ら会いたい人にアポイントを取り、お店やメニューまでアレンジする対談である。今回は、フジテレビで放送されている「芸能界麻雀最強位決定戦THEわれめDEポン」の実況アナウンサー野島卓さんと、解説者の梶本琢程さんをお招きして、愛してやまない麻雀について語り尽くす。 来生たかおが選んだお店は、ハイアットリージェンシー東京の日本料理「佳香(かこう)」。落ち着いた雰囲気のお座敷で、極上の和牛ステーキを頬張りながらの対談は3時間に及んだ。
【ホスト】 | 来生たかお(きすぎ・たかお) |
【ゲスト】 | 野島卓さん(のじま・たかし): 梶本琢程(かじもと・たくのり): |
【外 野】 | 小松裕二(こまつ・ゆうじ): 渡辺智加(わたなべ・ちか): |
Part 2
- 来生
- 「THEわれめDEポン」っていうのは、ルールが凄いじゃないですか。最初は、やっぱり抵抗感があって(笑)
- 野島
- そうですか(笑)
- 来生
- こんな麻雀、ちょっと邪道だと。最初からドラが2枚めくれててね。あれは、最初からそうですか?
- 野島
- 最初からです。
- 来生
- それで、われたところ……自分の山の人間が上がれば倍、振れば倍払うわけでしょ?で、東だけですよね。
- 野島
- そうです。東風戦です。
- 来生
- 僕らは普通の、東南の半荘の正攻法の麻雀をずっと打っているから、最初は抵抗感があって。今はもう、すっかり馴染んでますけど。面白いなって。ものすごい大逆転があるじゃないですか。そういう醍醐味があるから。あと、タバコがOKですよね。あれがいいな、と思っているんですよ。
- 渡辺
- 今もそうなんですか?
- 来生
- 今もそう。だから、坂上忍さんなんてバンバン吸う。タバコ、何箱か積んでますよね?
- 野島
- たいてい、萩原聖人さんと坂上忍さんは5箱ずつ、テーブルに積んでます(笑)
- 来生
- 5箱! だから、もし、僕がお誘いを受けてやるとしたら、萩原聖人さん、坂上忍さん、風間杜夫さん、見栄晴さん。このあたり(笑)
- 梶本
- 全員、タバコを吸うから(笑)
- 来生
- 自分もヘビースモーカーだから。他の棋戦は禁煙になりましたよね。吸う人にとっては、結構、キツいんじゃないかなと思って。
- 野島
- 本当にそうなんですよ。世の中の目が厳しくなって。
- 来生
- でも、なんかホワイトカラーっぽくなっちゃう。
- 野島
- あらゆる部門で、そうなんですよ。TVって。
- 来生
- TVドラマなんかも、違和感があって。応接間のテーブルに何にもないっていう……灰皿があるべきだろうって。新聞記者室みたいな場面で、タバコをくわえながら電話するとか、原稿を書くとか、そういう場面がなきゃ、全然、凄味がないですよ。
- 野島
- 今や、リアルもそうですよ。みんな喫煙室に行って、タバコを吸って戻ってくるっていう。悲しい世の中です。
- 来生
- 新聞のコラムを書く人とかね、ロクなものを書けないんじゃないかって。
- 渡辺
- それはどうかな(笑)
- 野島
- そういう側面はあると思います。
- 来生
- 早く仕上げてタバコを吸いに行こう、とかさ。やっぱり、思考する時にはタバコがないと。
- 野島
- 本当にそう思います。私が会社に入って、一番、衝撃だったのは、見習いに行って、ニュースを読んでいたのが露木さんだったんですね。「本番5分前です」って言われた時に、露木さんがタバコに火をつけて、根元まで吸って、そのまま床に捨てた。足でギュギュっと踏み消した姿を見て、「スッゲー会社に入っちゃったな」と思ったんです(笑)
- 来生
- へえ〜(笑)
- 野島
- 当時は、それが常識だったんですよ。
- 小松
- その頃、露木さんはアナウンス部長?
- 野島
- 確か、局長になっていた時だと思います。
- 小松
- そのままですか。
- 野島
- そういう時代だったんですよね。今じゃ、考えられないですけど。
- 来生
- 昔は、7〜8割の人が吸っていましたからね。今、タバコを吸う人にとって、くつろげる場所って、タバコが吸えるところなんですよ。
- 渡辺
- 店を決める時の最初の選択肢ですね。
- 来生
- そう。昨日も、父の日だったから、中華料理屋さんに家族で行ったんだけど、禁煙だった(笑) もう、早く食べて帰ろうと。
- 野島
- タバコがメインで(笑)
- 来生
- やっぱり、中華なんかは、一服しながらじゃないと、ゆっくりできませんよね。本当にくつろげなくなっちゃって、辛いです。
- 野島
- 今は雀荘ですら、禁煙のところがありますからね。
- 梶本
- 禁煙雀荘、ありますね。
- 野島
- あれはちょっと、考えられない。
- 来生
- あ、梶本さんは止めたんだよね。止めた人って、やっぱり煙が気になっちゃう? 最初から吸わない人は気にならないと思うんだけど。
- 梶本
- 副流煙を向けられると、ちょっと気にはなります。
- 来生
- 副流煙は根拠がないんですよ。
- 一同
- (笑)
- 来生
- いや、ほんとに。発がん性だったら、お酒。ワインが一番ヤバいですけど。お酒や排気ガスは確実に。でも、タバコって、絶対の根拠がないんです。80年代の初頭に、日本の学者がアメリカで論文を出したんですよ。副流煙に発がん性があるって。でもこれ、当時、却下されたんです。何の根拠もないって。ただ、インパクトがあったわけですよ。でも、そのうちに、いつの間にかアメリカで健康ブームが起きて、タバコには害あると言い出して。日本も真似して健康ブームになっちゃった。で、便乗する形でタバコの副流煙に発がん性があると。吸わない人に迷惑がかかるっていうことで、たぶん、少数の嫌煙派に僕らは負けた(笑) あとは、やっぱりクリーンな街づくりとか、そういうのもあって。インフラの一環でタバコをなくそうと。
- 小松
- 梶本さんは、そういう風潮がなくても止めてましたか?
- 梶本
- 僕は、それとは関係なくて。ちょっと痩せなきゃな、と思って。
- 来生
- でも、タバコを止めると太っちゃうよ。
- 梶本
- まず、運動するために。とりあえず、風邪を引いたのをきっかけに。吸いたくなくなった勢いで、みたいな。
- 小松
- 割とすんなり止められました?
- 梶本
- 1カ月くらいかかりましたけど。
- 野島
- それで、スポーツやっているの?
- 梶本
- 歩くだけです(笑) でも、すごく痩せたんですよ。
- 来生
- そうそう。痩せてTVに出てきて。「えー、どうしたんだろう?病気したのかな?」って。
- 梶本
- 15キロ、ガーンと落として、10キロ戻りました(笑) 3分の2、ピョーンと跳ね返った感じで。
- 野島
- いいんですよ。もうね、欲望のままに。
- 小松
- タバコって、一日、どのくらい吸われます?
- 野島
- 1箱程度です。
- 来生
- 社内では、そんなに吸えないでしょう。
- 渡辺
- 声のお仕事なのに、気にされないんですか?
- 野島
- 特に、それは気にならないです。
- 小松
- 入社当時に、露木さんを見ちゃっているから(笑)
- 野島
- ただ、吸える環境が、どんどん少なくなっていますね
- 小松
- その環境で1日20本って言ったら、かなり吸っているほうかもしれませんね。
- 野島
- そうですね。ことあるごとに、喫煙所に(笑)
- 来生
- 今日は車でいらしたということで、やっぱり、車だと心置きなく吸える?
- 野島
- 当然、そうですね。
- 来生
- 僕も、自宅と車の中でしか、くつろげないですけど(笑) うちはカミさんも吸うんで。
- 野島
- それは恵まれていますね。
- 来生
- 家にはミニチュアダックスがいて、そろそろ13歳になるんですけど、いつも煙の中にいて元気ですよ(笑) 全然、大丈夫。
- 小松
- 家では気をつかわれているんですか?
- 野島
- 結婚していた当時は、相当、気を使っていました。
- 来生
- ということは、今は?
- 野島
- 今は、野に放たれています(笑)
- 来生
- いいじゃないですか、気楽で。あれ、梶本さんは?
- 梶本
- 僕は、まだ独身です。
- 野島
- する気、あるの?
- 梶本
- まったく。予定もないですし。
- 野島
- ないよね。満足しているよね、今の自分に。
- 梶本
- そんなこともないんですけど。まあ、慌てなくてもいいかな、と。
- 来生
- そのぐらいの年齢になったら、もう結婚などしないほうがいいですよ。
- 野島
- また、そんな(笑)
- 小松
- 今、3割くらい、結婚していないらしいですね。2030年になると、もっと増えるっていう。
- 来生
- 今は、社会がすべてやってくれるから。
- 渡辺
- でも、来生さんは、結婚していなかったら大変だったでしょう?
- 来生
- 僕はダメだ。
- 渡辺
- でしょ? 料理しないし。
- 来生
- でも、今は料理をしなくたって、社会が全部、そろえてくれるからね。
- 来生
- 「THEわれめDEポン」で、強いてちょっと良くないな、というところは、水着姿の女性(笑) あれはいらないと思う。麻雀番組なんだから。あれは男性へのサービスなんですか?
- 野島
- 先ほど申し上げたように、制作が「ものまね」班なんですよ。元々の根っこが。バブルの頃に最盛期だった、ものすごく勢いのあったチームなので、バブルの香りをなくしたくないんですよね、どうしても。当時、深夜のバラエティ番組って、意味もなく水着の女性が出ていたじゃないですか。その名残りです。「俺たちの根っこはここだぞ」ということを示すアイコンみたいなもので。あれがないと、逆に、あのチームは不安になっちゃうみたいです(笑)
- 来生
- なんか、集中できないですよね。変なことを考えちゃう(笑)
- 野島
- それも狙いのひとつです(笑) 経費削減ということを考えれば、一番、必要ない経費なんですけど、あれは、どうしてもなくせないんだと思います。あのチームにとっては。
- 来生
- メンバーの人選っていうのは、スタッフが?
- 野島
- そうです。やはり忙しい方が多いので、なかなか決まらないんです。オンエアの日が2カ月前くらいに決まって、それからスケジュールを探りますので、「大丈夫です」という人が見当たらないことが多いと聞いています。
- 小松
- 拘束時間はどのくらいですか?
- 野島
- 22時入りで……
- 来生
- 0時くらいから放送しますよね?
- 野島
- 生放送は0時なんですけど、その前に1ゲームだけボーナストラックを撮っているんです。お金を払った人しか見られない、オンデマンドというのがあって、その収録のために22時に入っていただいて。
- 来生
- それはスコアと関係ないんですか?
- 野島
- 関係ないです。エキジビションマッチです。
- 渡辺
- 放送は月に1回とか?
- 野島
- 今は、ほぼ月に1回ペースです。
- 来生
- 賞金は100万円でしょ?
- 野島
- 今は50万円ですね。平場は50万円で、24時間とか、特別バージョンの時は100万円です。
- 来生
- そうなんですか。
- 野島
- 4月に地上波で放送された回は100万円だったんです。
- 来生
- でも、その他にギャラは出るの?
- 野島
- 出ます。
- 来生
- 個人で賭けているとか、そういうことはない?
- 野島
- 個人で賭けると、2位でも上がっちゃうとか、そういうことが起きちゃうんですよ。トータルで沈まないために。なので、「それは絶対にやめてください」とお願いしていますし、みんな、やっていないです。
- 小松
- 前に、聞いたじゃないですか。
- 来生
- そうでしたっけ?
- 小松
- 昔、来生さんの楽曲を使ったドラマがあって(1988年放送・TBS系「柴門ふみスペシャル〜新・同棲時代」)。3話のオムニバスだったんですけど、そのうちの1話が萩原聖人さんの主演で、来生さんも出演したんですけど、もう、それが聞きたくて(笑) 「あれは実際、どうなの? 賭けているの?」って。
- 梶本
- それを聞くためだけに、みたいな(笑)
- 小松
- で、「いや、賭けていないです」って。やはり、そういう理由があったんですね。当時、すごく「THEわれめDEポン」に出ていたっていうイメージがあります。
- 来生
- いや、今だって常連ですよね?
- 野島
- 常連です。一番、出場回数が多い。
- 小松
- 役者の仕事よりも麻雀が好きみたいですよね。
- 野島
- もう、本気度が違います(笑)
- 来生
- 芸能人では、萩原さんはトップクラスですよね。見ていても、やっぱり凄いな、と思うし。
- 野島
- 他の追随を許さない域に、彼は達していると思います。
- 渡辺
- プロになるという感じではないんですか?
- 野島
- プロになる意義がないので。
- 梶本
- ならないほうがいいんです。拘束されないから。
- 野島
- まあ、ストイックですよ、麻雀に対して。
- 小松
- たまにドラマで見たりするけど、いいですよね。
- 野島
- 若いころは主役方向の仕事が多かったから、世の中の人から見ると、「あまり見なくなったな」という印象かもしれないですけど、年齢なりの、脇のいいところで出ていますよね。
- 小松
- この間、NHKの「64(ロクヨン)」を見たんですよ、横山秀夫さん原作のドラマ。あれに萩原さんが刑事役で出ていて、やっぱり存在感があるな、と。年齢を感じさせないというか。
- 渡辺
- 萩原さんって、いくつぐらいでしたっけ?
- 梶本
- 僕と同じ年くらいですから、43歳か44歳じゃないでしょうか。
- 小松
- 「THEわれめDEポン」には、お笑いの人も参戦していますよね。
- 野島
- おかげさまで。お笑いの人がいなかったら、もっと面子選択に困るだろうな、というくらい、いまや欠かせない感じです。
- 来生
- お笑いの人も強いですよね。アンジャッシュの児島さんとか。彼はプロなんだよね。
- 梶本
- 資格を取っています。活動は、そんなにしていないんですけど。
- 来生
- あとは、スピードワゴンの小沢さんも上手い。ヘビースモーカーでね。でも、お笑いの人は静かだよね。
- 梶本
- 芸人さんの方が、ガチなイメージがありますね(笑)
- 来生
- 昔、堺正章さん、井上順さん、加藤茶さん、加賀まりこさんという回があって、会話が面白かった。麻雀を知らない人が見ても、十分、楽しめる(笑)
- 野島
- バラエティの頂点を見た気がしました。
- 来生
- 井上順さんが面白くて。でも、麻雀を好きな人から見ると、ちょいと。やっぱり、お笑いの人は真面目に集中してやるじゃないですか。その方が、麻雀が好きな人間としては。
- 来生
- 梶本さんが麻雀を始めたきっかけは?
- 梶本
- 大学に入ってからですね。
- 来生
- 鳥取でしょ?
- 梶本
- はい。高校3年まで、ずっと地元で。
- 来生
- 大学に入る前は、やっていない?
- 梶本
- 「ドンジャラ」みたいな、麻雀に近いゲームは、やっていたんです。子供の頃に。僕は一人っ子なので、遊び相手がいないから、毎週、日曜日になると同級生を呼んで、やっていたんですけど、麻雀はやったことがなくて。で、大学で東京に出てきて、鳥取県人寮に入ったら、「麻雀、できるか?」と言われて、「できないけど、覚えます」って(笑) 遊び部屋みたいなのがあるんですよ。留年しているような先輩の部屋が。そこに毎晩、行っていました。1年生だから、1限から大学に行くんですけど、帰ってきて、3時、4時までやって、始発で大学に行く、みたいな。さすがに体力的にキツくなって(笑)、その寮を出たんですけど、一人暮らしになったら、今度は面子がいない。段々、寂しくなって、大学の寮に入ったら、どこでも麻雀をやっているんです。
- 来生
- それでハマって、プロになろうと思った?
- 梶本
- 試験の時って、みんな、さすがに勉強するんですよ。そうすると、段々、打つ相手がいなくなるから、フリー雀荘っていうのに行ったんですけど、そこから競技麻雀にハマって、「ちょっと試験を受けてみようか」と。21歳の時ですね。
- 小松
- うちの息子と同じですよ。
- 渡辺
- 自分は強いと思ったんですか?
- 梶本
- トップになれば本も売れるし、本に取り上げられるだろうし……ということもありつつ、「どのくらい強いのかな?」というのを、腕試し的な感じで。
- 野島
- そんな打算があったんだ(笑)
- 梶本
- 一応は(笑) とりあえず、どんなもんかな?みたいな。強い人って、全部、牌の裏側まで見えるのか、とか。そういう幻想があったので。それで入ってみたんです。
- 小松
- 今は全自動だけど、手積みでやっていると、本当に、どこまで覚えているのかっていうね。
- 梶本
- そうですね。積み込み的な。
- 小松
- すごい人は覚えている、みたいな話になるじゃないですか。ああいう人と麻雀を打っても勝てないですよね。どう考えても。
- 来生
- それがプロ。インチキじゃないけど、最低でも……
- 小松
- 自分のところは全部、覚えている。
- 来生
- そう。他の牌も、覚えるだけ覚えちゃう。サイコロの目を出す技術もある。
- 小松
- それは、やりました?
- 梶本
- サイコロは、さすがにバレちゃうんで。
- 渡辺
- それは違反なんですか?
- 梶本
- 違反というより、モラルですね(笑)
- 野島
- “置きザイ”と言ってね。
- 梶本
- 「ちゃんと振った?」って言われちゃう。
- 小松
- バレずにやる人もいるんですか?
- 梶本
- コロコロっと回さずに。
- 来生
- 小島武夫さんは、本当に上手かったらしいですね。
- 梶本
- 手先が器用だったみたいです。リアルで見たことはないんですけど。今でも、あの年で、やっていますから。
- 来生
- プロって、そのへんはフェアというか、平等になっちゃった?
- 梶本
- なりましたね、完全に。僕らは過渡期で。
- 来生
- 全自動になって、牌もわからないし。サイコロだって自動だから。
- 渡辺
- 昔の技術が使えなくなった?
- 梶本
- ものすごく減りました。
- 来生
- 今は場数でしょうね。毎日のようにやっていれば、流れをつかめる。たまにやる人とは、そのへんで差が出るんじゃないかな。僕なんか、プロに勝てる自信がまったくない。
- 野島
- そんなことはないでしょう。
- 来生
- 半荘2回とかね、たまたま巡りあわせでツイていて、勝つ場合があるかもしれないけど、少し長く打ったら絶対に勝てない。
- 野島
- もちろん、トッププロには凄い人が多いですけど、普通にプロって言っている人たちは、まぁ、普通ですね(笑) びっくりするくらい普通です。
- 来生
- そうなんですか?
- 野島
- はい。ガッカリしちゃうんですよ、プロに。
- 来生
- 対戦を見ていると、地味は地味ですよね。「ここで降りちゃうんだ」みたいな。
- 野島
- その巡目で、それ鳴いちゃうんだ、とか。
- 梶本
- そっちが多いですね、今は。
- 来生
- 加賀さんとか、坂上さんを見ていると、ビンビン行くじゃないですか。ああいうところは、プロとは違う。それが面白いんですよ、見ていても。でもプロは、最後に勝負するところが凄いじゃないですか。
- 野島
- いや、そういうシーンを見せてもらっていないです。我々が求めるプロ像って、なんとなくですけど、究極の才能というか、ギリギリまで読み切って、「ここか、ここの2択だ」と。そういう姿を見せてくれれば、「やっぱり凄いんだな」と思えるんですけど、とにかく早いリーチがかかったら、あとはもう、「ごめんなさーい」って、中抜きで降りていく。そんな姿を見せられると、「何のためのプロなんだ?」と。
- 小松
- 俺たちと一緒じゃないか、と。
- 野島
- そうそう。そうなっちゃうんですよ。
- 小松
- 所詮、当たり牌は2牌か3牌で、あとは全部ハズレなんだから、と。そういう粋なところを見せてほしい。それはわかります。
- 野島
- とにかく早いテンパイ入った人の勝ちだろう、という麻雀に、実際、なっちゃっているんです。今のプロが。小島先生みたいに、「そんなクソみたいな手で上がるわけないだろう」みたいな姿勢を見せてくれるプロが、あまりいないんです。そこが残念です、とても。
- 小松
- 何か、神格化されている部分がありますからね、プロは。
- 野島
- なんとなくね。
- 小松
- 小島さんもそうだし、桜井章一さんとか、色々いるじゃないですか。「当たり牌以外は何でも振る」みたいなイメージって、どこかにあったりするから。
- 野島
- プロとしての技術を見せる場というのが、麻雀の風潮とともに、どんどんなくなっているような印象があって。プロ側も、それを良しとしているようなところがあって、ちょっと歯がゆいですね。
- 小松
- 梶本さんは、週にどのくらい対局されるんですか?
- 梶本
- 公式戦とかがないので、よく打って、月に20回とか。
- 来生
- 半荘20回?
- 梶本
- 週に1回もないんじゃないですかね。4人でセット麻雀やったり、ネット放送での対局とか。
- 小松
- 野島さんなんかも、ある程度、ストレス感じているみたいだから、放送が終わった後、やりたいと思いませんか?
- 野島
- 若い頃は猛烈に思っていました(笑) 今はもう、終わったら早く寝たいな、と。
- 小松
- じゃあ、振らないプロと一緒かもしれないですよ(笑)
- 野島
- おっしゃる通りです(笑)
- 来生
- でも、結構、打っているんでしょ?
- 野島
- いやいや。若い頃に比べると、歴然と少なくなっていますね。
- 小松
- 週1で打つのは大変でしょ?
- 野島
- 週1では打てないです。月1でプラスアルファがあるかな、と。
- 小松
- 今、月1で来生さんとやっているんですよ。
- 来生
- 月例麻雀。半荘4回が、今は一番いいかな、と。
- 梶本
- そう言われてみれば、僕も月1のセットでやっていますね。昼からやり始めて夕方までやって、お酒を飲みに行って解散、みたいな。その時に次のスケジュールを決めておくと、毎月、続く感じになるので。
- 来生
- 小松氏の身内に、もう一人、強いのがいて。その彼と、僕ら夫婦で。うちのカミさんもやるもんで。
- 野島
- 凄いですね。
- 来生
- うちのカミさんは、「こういう役があって、上がれるんだろうな」というのはわかるんだけど、それが何点なのかはわからない。でも、振るべきものがわかるので、ボケないためにね。
- 梶本
- 本当に、役に立ちますよ。
- 来生
- 本当にそう。麻雀はね。
- 小松
- 来生さんは、よく落とすんだ、牌を(笑) 「この牌、すべるんだよ」とか言って。
- 来生
- チョンボやったりね。
- 来生
- 梶本さんも、昔はTVでやっていたよね。
- 梶本
- 元々、プレイヤーですから。
- 来生
- 最近、対局は見ないんだけど。
- 梶本
- そうですね、MONDOでは全然、打っていないんで。
- 来生
- 梶本さんの牌捌きって、美しいですよね。
- 野島
- はい。見た目と麻雀が違うんです(笑) 昔から思っていたんですよ。すごくホワーンとした感じを人に与えるのに、麻雀ではこんなに切れ込むんだ、っていう印象でした。
- 渡辺
- 牌捌きが美しいって?
- 来生
- それぞれ特徴があってね。滝沢和典さんなんかも綺麗なんだよ。
- 梶本
- めちゃくちゃ綺麗ですね。
- 野島
- あ、タッキーとは、おやりになったんですか?
- 来生
- いやいや、TVで見て。
- 野島
- かっこいいですよね。
- 来生
- ツモって牌を切るとか、リーチをかける所作がね。
- 野島
- プロには大事ですよね。
- 梶本
- かっこいい切り方をする人の打ち方を映像で見て、それを真似るんですよ。
- 小松
- うちの息子なんかもそう。かっこいい打ち方を見ると、それを真似してる。取ってから入れて、回して打つまでの一連の流れを。
- 来生
- 僕は将棋も好きなんだけど、将棋も駒捌きの美しさってあるんですよ。
- 野島
- 特に音がいいですよね、将棋は。
- 来生
- 麻雀では、鈴木達也さんだっけ、すごく慣れているでしょ。牌の切り方が綺麗な人は、本当に綺麗。
- 渡辺
- 来生さんも、そういうところを意識したりするんですか?
- 来生
- そうだよ。でも、なかなかイメージ通りにはいかない(笑)
- 小松
- すべっちゃうから(笑) でも、雀荘に来る人、増えましたよね。
- 梶本
- 実は、雀荘は結構、下火なんですよ。ネットが多くて。で、高齢者の方で、健康麻雀的なものをやる人は、すごく増えました。
- 来生
- 僕はラウンドワンでメダル遊びをしたりするんですけど、そこに麻雀があるんですよ。
- 野島
- ラウンドワンにあるんですか?
- 来生
- ありますよ。
- 梶本
- それは初耳です。
- 来生
- 麻雀ゲームですけど。お金を入れてやる。
- 梶本
- ああ、「麻雀格闘倶楽部」とか、「MJ」とか、そういうやつですね。
- 来生
- いっぱいあるんです。
- 小松
- あれは対戦できるんでしょ?
- 梶本
- 昔のゲームはコンピュータ相手で、100円入れてもすぐ終わっちゃうようなものだったんですけど、今は、全国のゲーセンでやっている人同士で、オンラインを通じて対戦できますね。
- 小松
- 話は変わりますが、「われめ」って、いつ頃から始まったんですか?
- 梶本
- インフレルールが出来た頃ですから、昭和40年代とかだと思います。サラリーマン麻雀の流れで。
- 小松
- 日本の文化ですよね。
- 梶本
- そうです。ドラも、そもそも日本発祥なので。
- 小松
- “あかウー”も日本?
- 梶本
- そうです。東京五輪がきっかけで、ウーピンを全部赤くして。
- 来生
- 僕が「THEわれめDEポン」のルールで思うのは、赤を入れないのがいいですよね。赤も入れちゃうと、あっという間に終わっちゃうおそれがある。
- 梶本
- ドラが増えすぎると、たぶん、リーチが減っちゃって、リーチのドキドキ感とか、なくなっちゃう気がしますね。
- 来生
- あの感じがいい。あれですごく馴染んで。最初は抵抗があったけど、今は面白いなと思っています。ただ、もうひとつ。梶本さんならご存知かもしれないけど、昔の中国のルールだと、嶺上開花(リンシャンカイホウ)……5筒をツモると役満っていうのがありましたよね?
- 梶本
- ありました。
- 来生
- 「山の頂に花を咲かせる」っていう、嶺上開花。5筒が、花が開いた感じに似ているんで、5筒をツモると役満だっていう。
- 梶本
- 5筒もあるし、1筒もあるんです。
- 来生
- 5筒はハイテイでしょ?ハイテイって、海の底って書くんです。で、ロウユエでしたっけ?
- 梶本
- 海底摸月(ハイテイラオユエ)。
- 来生
- 月を掬うって書くんだよ。海に映った満月を掬い上げる……イーピンは満月に似ているから、イーピンをツモると役満だっていう。これとか、「THEわれめDEポン」のルールに入れたらいいんじゃないかな(笑)
- 梶本
- いや、覚えきれないかもしれない(笑)
- 来生
- より大逆転の要素が増えるんじゃないかな、と。滅多にできないから。それも面白いかな、赤を入れるよりは。
- 小松
- だいぶ前に、沖縄で麻雀をやった時、雀荘で……「赤5」はわかるんですけど、3も7もあるんですよ。
- 梶本
- 3は九州なんですよ。
- 小松
- あれはビックリで。7もありましたよ。
- 梶本
- 7は珍しいですね。
- 野島
- 全部、ドラなんですか?
- 小松
- 1枚ずつ、あったんですよ。
- 梶本
- 要は、アカ3筒、アカ三萬。5じゃなくて。
- 小松
- 7もあったんですよ。で、5もあるから、もう、とんでもない麻雀になっちゃって。
- 野島
- そうでしょうね。
- 小松
- その時、「われめ」でやっていたんですよ。
- 来生
- すぐ終わっちゃうじゃない。
- 小松
- すぐですよ。徹マンやって、9時に一回、解散して、その日に帰る予定だったんだけど、台風で飛行機が飛ばないからって、3時に集合して、またやったんです(笑)
- 野島
- それはしんどい(笑)
- 小松
- で、3時からは、とりあえず3と7をなくしましょう、と。
- 梶本
- 考えるとかじゃなくて、作業みたいになるんですよね、麻雀が。上がり競争するだけのゲーム。昔の自民党ルールとか、そんな感じですよ。
- 小松
- あと、大阪に行くと、3人打ちが多いんですよ。これって、関西人らしいですよね。4人揃うまで待てないって(笑) 関西人は、やるんですよね、3人で。
- 梶本
- 関西のフリー雀荘の9割以上。300件中、285件が3人麻雀ですよ。
- 来生
- 僕らも、たまに大阪でやると、ほとんど3人。4人でやっているのが珍しい。
- 梶本
- 今でこそ4人も増えましたけど。関西、四国、山陽くらいまでは3人麻雀ですね。4人集まっても、1人は抜け番で、休憩してご飯を食べたり、人の手を除いて野次を言ったり、そんな感じですよ。